業務用エアコンの種類は、設置方法や吹き出し方向によって複数のタイプに分かれます。清掃を依頼する前に自社の機種のタイプを確認すると、業者との話がスムーズに進みます。
主要なタイプの特徴と選ばれやすい設置場所を整理します。あわせて、タイプによって変わる清掃のしやすさや、依頼前に確認したい点も紹介します。
監修
たてのエアコン 事業責任者
桑名
第二種電気工事士
たてのエアコンの事業責任者として、現場の工程管理と施工品質の担保を担当しています。エアコンクリーニングは15年の経験をもとに、家庭用・業務用を問わず分解洗浄から設置・電気工事まで一貫して対応。養生から作業後の清掃まで丁寧に行い、安心してお任せいただける現場づくりを心がけています。
プロフィールを見る ›業務用エアコンの主な種類(形状)一覧
メーカーの室内機ラインアップには、天井カセット形、天吊形、壁掛形、床置形、天井埋込・ビルトイン形、厨房用エアコンなどがあります。本記事では、清掃を相談するときに見分けやすい主な形状を6つのグループに整理します。
同じグループでも、吹き出し方向や容量、型番によって構造は異なります。実際の区分は、三菱電機の室内ユニット一覧や日立の室内ユニット一覧のようなメーカー公式情報と、設置機種の取扱説明書で確認してください。
| 種類 | 特徴 | 主な設置場所 |
|---|---|---|
| 天井カセット形 | 天井に埋め込み、4方向・2方向・1方向などへ吹き出す | オフィス、飲食店の客席、医療・介護施設 |
| 天吊形 | 天井面から本体を露出させて設置する | 倉庫、店舗、天井裏スペースを確保しにくい建物 |
| 壁掛形 | 壁面に取り付ける、家庭用に近い形状 | 小規模店舗、バックヤード、事務室 |
| 床置形 | 床に据え付ける | 天井や壁への設置を避けたい建物、工場 |
| 天井埋込形・ビルトイン形 | 本体を天井内に収め、機種によりダクトで吸込口・吹出口を配置する | 内装デザインを重視する店舗、変形間取りの物件 |
| 厨房用エアコン | 油汚れに配慮したステンレス外装などを採用する | 飲食店・給食施設の厨房 |
主要タイプの特徴・メリット・デメリット
室内機は、設置できる場所、吹き出し方向、天井内のスペースなどを踏まえて選びます。形状だけで温度分布や工事費を一律に判断せず、部屋の形状と機種仕様を確認することが大切です。
天井カセット形(4方向・2方向・1方向)
天井カセット形は天井に埋め込むタイプで、4方向・2方向・1方向などの製品があります。部屋の形状や照明・什器の配置に合わせて、吹き出し方向を選びます。
- 特徴:4方向タイプは複数方向へ送風できる
- 確認点:天井内の設置スペース、点検口、化粧パネル周辺の作業スペース
天吊形
天吊形は天井面から本体を露出させて設置するタイプです。メーカー公式情報では、天井の開口をせずに設置でき、1方向へ吹き出す製品が案内されています。
- 特徴:天井の開口を伴わずに設置できる製品がある
- 確認点:本体や配管の露出、吹き出し方向、清掃時の作業高さ
壁掛形
壁掛形は壁面に取り付けるタイプで、家庭用エアコンに近い外観です。メーカーは、設置場所やスペースが限られた小規模店舗などの選択肢として案内しています。
- 特徴:壁面の限られたスペースへ設置できる
- 確認点:設置高さ、周囲の什器、型番ごとのフィルターの外し方
床置形
床置形は床に据え付けるタイプです。天井や壁へ室内機を設置しにくい建物や、床面から空調したい場所で候補になります。
- 特徴:天井内や壁面に室内機の設置場所を確保する必要がない
- 確認点:床面積を占有するため、動線と本体周囲の作業スペースが必要
天井埋込形・ビルトイン形
天井埋込形とビルトイン形は、メーカーのラインアップ上では別の室内機として扱われることがあります。本体を天井内に収め、機種によってダクトで吸込口・吹出口を配置できるため、型番ごとの構造確認が必要です。
- 特徴:室内への本体露出を抑え、吸込口・吹出口を配置できる製品がある
- 確認点:点検口、本体までの経路、天井内の作業スペース、ダクトの有無
厨房用エアコン
厨房用エアコンは、油汚れに配慮したステンレス外装などを採用した専用タイプです。三菱電機の公式ラインアップでも、飲食店の厨房や学校給食室向けとして案内されています。
- 特徴:油汚れに配慮し、手入れしやすい外装を採用する製品がある
- 確認点:油煙の量、フィルターの状態、機種ごとの清掃範囲
対応できる機種や清掃条件は、型番や設置状況によって個別に確認します。詳しい対応内容は業務用エアコンクリーニングの対応内容で確認できます。
設置場所・業種別に向いているタイプ
設置場所ごとに候補となる形状はありますが、必要能力や建物構造、用途、人数などでも選定結果は変わります。形状だけで決めず、メーカーや空調設備業者へ確認してください。
オフィス・事務所
オフィスや事務所では、4方向天井カセット形などが候補になります。部屋の広さだけでなく、用途、人数、照明や什器の配置も含めて吹き出し方向と必要能力を確認します。
飲食店(客席・厨房)
飲食店では、客席側の空調に加えて、油汚れに配慮した厨房用エアコンが候補になります。厨房の熱負荷や油煙量を踏まえた設備選定は、空調設備業者へ確認してください。
工場・倉庫・施設
工場や倉庫では、天吊形や床置形が候補になることがあります。天井高、発熱量、粉じんなどの使用環境によって必要な仕様が変わるため、一般店舗向け機種でよいかを個別に確認します。
ペア型・マルチ型、単相・三相など機器構成の違い
業務用エアコンは、室外機と室内機の組み合わせ方にも違いがあります。1対1の組み合わせに加え、複数の室内機を同時運転する構成や、個別運転できるマルチ型があります。電源仕様も型番ごとに確認が必要です。
ペア型とマルチ型の違い
ペア型は室外機1台に室内機1台を組み合わせます。複数台構成には、室内機を同時に発停するタイプと、室外機1台に接続した複数の室内機を個別運転できるタイプがあります。構成ごとに運転上の制約が異なるため、メーカーのマルチ型製品情報や設計資料で確認してください。
単相・三相など電源の違い
業務用エアコンには単相・三相の製品があります。外観だけでは判断せず、室内機・室外機の銘板と仕様書で電源を確認してください。既設電源と異なる機種への更新可否や電気工事は、販売店・空調設備業者・電気工事業者へ確認します。
タイプによって清掃のしやすさや依頼時の注意点はどう違うか
天井カセット形は、パネルを開けての分解洗浄が必要になりやすいタイプです。壁掛形やダクト形は、構造によって作業範囲や所要時間が変わります。
清掃を依頼する際は、タイプごとの作業条件を業者へ確認しておくと話が早く進みます。
天井カセット形・天吊形の清掃条件
天井カセット形や天吊形は、天井に近い高い位置での作業になり、パネルを開けての分解洗浄が必要になることがあります。
高所での作業になるため、養生や安全対策の確認が欠かせません。作業時の詳しい内容は養生・ブレーカー・高所作業の確認にまとめています。
壁掛形・床置形の清掃条件
壁掛形や床置形でも、利用者が手入れできる範囲は機種の取扱説明書に従います。取り外し可能なフィルター以外の内部清掃は、分解範囲と安全条件を確認できる専門業者へ相談してください。
フィルター清掃で自分でできる範囲と業者に頼むべき境界はフィルター掃除の手順と依頼の境界で確認できます。
天井埋込形・ビルトイン形・厨房用の清掃条件
天井埋込形やビルトイン形は、本体までの点検経路やダクトの有無が機種・設置方法によって異なります。点検口の位置や作業スペースによって、清掃の進め方が変わります。
厨房用エアコンは油煙による汚れが付きやすく、分解洗浄の頻度や範囲が変わることがあります。詳しい違いは分解洗浄と通常清掃の違いにまとめています。
自社に設置されている機種のタイプを確認する方法
室内機の銘板や取扱説明書には、型番・品番が記載されています。吹き出し口の形状や設置位置からも、大まかなタイプを見分けられます。
- 室内機の側面や前面パネル内側にある銘板の型番・品番を確認する
- 天井に埋め込まれているか、天井から吊り下がっているか、壁や床に設置されているかを見る
- 吹き出し口が1方向か複数方向かを確認する
- 複数台ある場合は、設置場所ごとにタイプが異なっていないかも確認する
型番が分かれば、清掃を相談する際にタイプを伝えやすくなります。写真から概算の条件を整理する方法は写真見積もりに必要な情報にまとめています。
よくある質問
- 業務用エアコンの種類によって清掃の料金は変わりますか。
- 機種や台数、天井高、作業時間帯などの条件によって料金は変わります。具体的な金額は現地調査や写真をもとにした見積もりでご案内します。
- 自社の設置機種のタイプが分からない場合でも相談できますか。
- 型番が分からない状態でも、写真や設置場所の情報から概算の条件を整理できる場合があります。分かる範囲の情報をお伝えください。
- 天井カセット形以外のタイプでも分解洗浄はできますか。
- タイプ名だけでは対応可否を確定できません。壁掛形・床置形・天井埋込形なども、型番、年式、設置条件、作業スペースを確認したうえで個別にお答えします。
- 複数のタイプが混在している施設でもまとめて清掃を依頼できますか。
- 複数台・複数タイプが混在する施設でも、施工順や区画を調整しながらまとめて清掃計画を相談できます。
- 厨房用エアコンは客席用と同じ方法で清掃できますか。
- 厨房用エアコンは油煙による汚れが付きやすいため、客席用とは異なる頻度や範囲での清掃が必要になる場合があります。設置状況を確認したうえでご案内します。
まとめ
業務用エアコンは、形状によって特徴が異なります。天井カセット形、天吊形、壁掛形、床置形、天井埋込形・ビルトイン形、厨房用エアコンでは、清掃前に確認する項目も変わります。
設置されているタイプを確認したうえで相談すると、業者とのやり取りがスムーズに進みます。
- 天井カセット形は吹き出し方向と天井内・化粧パネル周辺の作業条件を確認する
- 壁掛形や床置形も、利用者が手入れできる範囲は取扱説明書に従う
- 天井埋込形・ビルトイン形は、点検口、本体までの経路、ダクトの有無を確認する
- 厨房用エアコンは油汚れの状態と機種ごとの清掃範囲を確認する
形状ごとに異なる分解範囲や作業時間を踏まえたうえで、清掃内容をご案内しています。